琵琶湖疏水記念館 [京都]
今朝(11日)の京都は未明から大雨。峠は越えたみたいですが、久々に雨らしい雨でした。
記事は8日の日曜日のこと。紅葉チェックがてら、岡崎~南禅寺~蹴上あたりをブラブラしてきました。
まず立ち寄ったのは、岡崎の琵琶湖疏水記念館。
10月30日にリニューアルオープンしたというので、久しぶりにのぞいてみました。(入場無料)
琵琶湖疏水に関するさまざまな資料が展示されています。
館内はこんな感じ。建設当時の資料が展示されています。
改めて書くまでもないかもしれませんが、琵琶湖疎水は東京遷都で人口が1/3も流出し、衰退した京都を復興させるための大事業。今も京都市の上水道のほとんどをまかっています。
滋賀県の琵琶湖からトンネルと運河で水を引き、用水・発電・水運に利用したもので、設計を依頼した外国人技師もさじを投げるような難事業でしたが、1890年(明治23年)に第一期工事が完成しました。
大津から山科までの第一トンネルは2436mもありますが、ほぼ人力で掘ったとか。
トンネル上はハイキングコースにもなっている山道で小関越えと呼ばれています。
ここを歩くと、建設当時の竪坑を見ることができます。山の上から竪坑をいくつか掘り、そこから水平方向に掘り進んだんですね。いずれにせよ、明治初期に人力で作ったトンネルってすごいな~って思います。
この写真は、たぶん山科。背景の山が音羽山だと思います。(写真キャプションを見ておけばよかったのですが…)
山の形は今と同じはずですが、送電塔が無い姿を見たことがないので、別の山みたいに見えます。
山科疎水も桜の名所ですが、その桜並木も無く、開通当初の風景が新鮮です。
琵琶湖疏水の役割の一つが水運。鉄道が整備されるまでは、京都と大津の間をたくさんの舟で貨物や旅客が行き来していたとのこと。
琵琶湖からトンネルを抜けて山科に出てきた疎水は、山科の山沿いを通って再びトンネルに入り、蹴上に出てきます。
ここと南禅寺舟溜の水面との高低差は36mもあるそうです。
この高さを利用して、琵琶湖疏水の水は京都市内に行き渡ることができるのですが、舟の運行は無理になります。
伏見には三栖閘門がありますが、36mを閘門式にするには何段も作らねばならないでしょう。
これを解決したのがインクライン。舟を台車に乗せ、電力でスロープを昇降させます。
(資料館ではインクラインの模型があって、ボタンを押すと舟を載せた台車が動きます。)
琵琶湖疏水では、蹴上と伏見の2箇所に設置されたインクライン。蹴上のものは当時世界最長だったとか。
そして近代化に決定的な役割を果たしたのが発電事業。
当初は計画になかったそうですが、前述の高低差を利用して当時は世界でも先端の水力発電所が建設されました。
この電気を利用して、新しい産業が生まれたり、路面電車が走って京都は蘇ることができたんですね。
京都のチンチン電車のルーツはこの蹴上発電所にあります。
↓ 蹴上発電所の模型 下部の水路(少し青いとこと)を流れを水車で受け止め、ベルトで右側の発電機を回します。
旧蹴上発電所で使用されたというペルトン水車が展示されています。
近くで見ると迫力があります。
その後、資料館を出て南禅寺へぶらぶらと歩きました。
境内の紅葉もところどころ色付いていました。
久しぶりに三門に上がってみました。急な階段は靴下を履いていると滑りそうです。
この三門で石川五右衛門が「絶景かな絶景かな」と言ったというのは歌舞伎の創作ですが、
高いところから周りを見渡すのは気持ちがいいものですね。
蹴上から九条山方面を見ると、ところどころ紅葉しているのがわかります。
このところ暖かい日が続いていますし、見ごろはもう少し先かな?
南禅寺の境内を跨いで琵琶湖疏水の分線が流れています。いわゆる水路閣。
ローマの水道橋みたいに何千年もの歴史があるわけじゃありませんが、お寺にレンガっていうのも独特の雰囲気ですね。
いまや2時間ドラマには欠かせない舞台。
この水路閣は琵琶湖疏水の分線。橋の上を琵琶湖からの水が流れています。
山科から蹴上に流れ着いた疎水は、舟をインクラインに託した後、水力発電所に大きな導水路を流れ落ちて行きますが、
発電所へ行かず、一部が分線を通って北上し、南禅寺の境内を水路閣で横切ります。
疎水分線は、この先"哲学の道"へと流れて行きます。
哲学の道(昨秋撮影)
水路閣からインクラインへと、分線を上流へたどれます。
ここは観光客の方は、桜のシーズン以外はあまり見かけません。
分線沿いを歩くと、やがて発電所への導水管が見えてきます。
わかりにくいですが、向こう側が発電所で、上から見下ろしています。
もう少し歩くと蹴上の舟溜~インクライン
インクラインは静態保存されていて誰でも歩けますが、やっぱりここは桜のシーズンがいいですね。
インクラインからも発電所への導水管が見えます。
技術的な困難を伴いながらも、それを乗り越えて完成し、近代京都の礎を築いた琵琶湖疏水。
水利、水運、電力など、一石何鳥もの目的を達する事業はそうそうあるものではないとは思いますが、
これこそ"公共"事業と呼ぶにふさわしいんじゃないかと思います。
最後に琵琶湖疏水記念館の今回のリニューアルで新たに加わった立体模型の写真に今回紹介の地点を入れてみました。
琵琶湖疏水や蹴上浄水場等、蹴上発電所を中心とした大正初期の岡崎界わいを再現した模型で、京都電気鉄道の路面電車や京津電の旧軌道など、なかなか見ごたえがありました。
琵琶湖疏水全図(京都市ホームページより) 拡大図はこちら(京都市ホームページ)です。
水車、よく考えられているんですね。
by penny (2009-11-11 13:27)
京都は学生時代によく通いました。
インクライン?インクが流れてる???バカなカン違いをしていたものです。懐かしい画像ばかりです。
by okko (2009-11-11 15:52)
琵琶湖博物館は一度だけ行ったことがあります。
琵琶湖の水道橋は見ていないので、見てみたいです・・・。
by ホタルの館 (2009-11-11 17:16)
今日はこちらも冷たい雨が降りつづいています。。
水車、水を送る導水管など昔の様子が分って興味深い記念館ですね。
すっかり染まった紅葉・・綺麗ですね~♪
by kimiko (2009-11-12 15:46)
私も去年でしたかこのあたり歩きました。
落ち着いた良いところですよね。
琵琶湖疎水記念館は、リニューアル前
平日と言うこともあって、誰もいませんでした。
貴重な資料ですが、立派過ぎて
勿体無いような気もしました。
by 空兵ーS (2009-11-12 23:51)
この辺りは素敵な雰囲気ですよね。
とても落ち着けるのが好きです♪
by ぎーこ (2009-11-13 06:08)
アップされた時間が11月11日11時11分ですね~!(笑)
by こりこ (2009-11-13 14:10)