泉屋博古館 [日記]
ずっと前の5月末のことですが、ブログに書いた栗原邸の見学を終えた後、お天気も良かったので日ノ岡から蹴上まで、九条山を歩きました。
山科から三条通りを一駅歩いて、地下鉄の蹴上駅の出口のところにあるkickupさんでランチ。一枚目のビールの写真に写ってる石垣はインクラインのもの。道路とインクラインに挟まれた狭小な土地にあるダイニングバーです。
中はこんな感じ。木のぬくもりが感じられて素敵な空間でした。
ランチをいただいた後は、南禅寺から永観堂方面へ抜けて歩きます。今見るとめちゃいい天気の日でした。天候不順だった夏よりも、この頃の方が空が青いな…。今日9月9日の空もこんな感じだけど。
そして鹿ケ谷通と丸太町通の角にある緑で覆われた目的地に到着。たぶん、観光の方は永観堂のあたりから哲学の道へ向かわれるので、この周辺は人も少なくとても静かです。
ここが泉屋博古館(せんおくはくこかん)。住友家の美術コレクション、特に中国古代青銅器を保存展示するための機関として昭和35年(1960年)に設立された美術館です。
(ずっと前に撮影した外観写真。当日は青空でした^^;)
美術館の名前は、江戸時代の住友家の屋号「泉屋」と、中国の宋時代に皇帝の命により編集された青銅器図録「博古図録」から名をとったそうです。
この日は"マルシェ"が開かれていました。
『泉屋博古館ホームページ』から引用させていただくと、
『泉屋博古館は住友家が蒐集した美術品を保存、展示する美術館です。
住友家の美術品で最も有名なものは、第15代当主住友春翠が明治中頃から大正期にかけて蒐集した中国古銅器と鏡鑑です。これは中国以外では質量ともに最も充実したコレクションとして世界的にも高く評価されていますが、当館はこの貴重な青銅器と鏡鑑500点余りを保存公開するための財団法人として昭和35年に発足し、昭和45年には京都鹿ヶ谷の地に4室からなる青銅器と鏡鑑の展示室が完成しました。』
この日も”中国青銅器の時代”という泉屋博古館所蔵品の企画展が開かれていて、中に入るとボランティアの方が熱心に説明してくださいました。
紀元前11世紀の商の時代の…と言われても、まったくピンときません。今から3千年以上も前の中国の文明は確かにすごいですね。展示品を一つずつ見ていると、よくこれだけのものを集められたものだと思います。住友家はすごいですね。
京都の鹿ケ谷にこんな落ち着く空間があるというのも嬉しいものです。
中庭も東山を見事に借景してすばらしい眺めになっています。
この日は竹の茶室「帰庵」でお茶もいただくことができたようです。数寄屋建築の技術を用いた竹の茶室は、不完全の中の美と調和の中、外の景色を借景に取り込むことで、その時にしか成立しない茶室としてお茶とその空間を楽しむのだとか…。
そして、この日の主たる目的は浅井忠展。
浅井忠は栗原邸を設計した本野精吾とほぼ同時期に京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)で活躍した人物です。夏目漱石の小説『三四郎』の中に登場する深見画伯のモデルとも言われています。
1900年(明治33年)に訪れたアール・ヌーヴォー全盛のパリでで図案研究の必要性を感じ、図案家の育成に努められたそうで、彼や京都高等工芸学校の同僚らが収集そした19世紀末から20世紀初頭の欧米の工芸品の数々もすばらしいものでした。その中にはミュシャのポスターもありました。
浅井忠《梅図花生》明治35~40年頃
滞在中に京都高等工芸学校に誘われた、帰国後に京都に移住。同校で教鞭をとる一方、洋画研究機関として、聖護院洋画研究所、関西美術院を設立し、陶芸家や漆芸家と図案化を結ぶ団体として、遊陶園、京漆園を設立
自らもアール・ヌーヴォーを思わせる斬新なデザインを発表して、京都の工芸界に新風を吹き込んだそうです。
浅井忠《武士山狩図》1905年(明治38年)
もちろん、明治期の代表的洋画家としての浅井忠の作品も展示されていて、彼のすばらしい活躍の数々を知ることができました。
素敵な所でランチにビール!
良いですね〜♪^^
by hatumi30331 (2017-09-09 11:04)
珍しいものが置いてありますね。一度行ってみたいです。
by JUNKO (2017-09-09 19:59)
ミュシャ展(案の定)なんやかんやで今年も行けなかったーTT;。
想定はしていたので、ミュシャ展公式ガイド画集みたいのを
念のためにネットで買っといてせめてもの良かった・・・汗。
↑ミュシャの絵でそんな連想しちゃいました^^;。
by すーさん (2017-09-10 11:25)
茶室良いですね。
頂きたい。
by せつこ (2017-09-10 11:33)
そろそろ芸術の秋だなぁ。
by U3 (2017-09-11 12:16)
青空の元で呑むビールは格別に旨く感じるのはなぜでしょうね。
いい物を見ていい時を過ごせましたね。
by 馬爺 (2017-09-11 13:10)